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ペルシャ絨毯の歴史

世界で研究されるペルシャ絨毯

羊毛
絨毯は、現代のイラン人にとって独特の芸術的な魅力の1つとされています。また、世界においても、イランの手織りの絨毯は人間が生み出した芸術の中で最も優れた部類に数えられています。このため、イランの手織り絨毯に関する調査研究は今なお続けられており、毎年ペルシャ絨毯に関する多くの書籍が出版されています。



初版の『イラン手織り絨毯百科事典』の内容抜粋


 

ペルシャ絨毯

最近、イランのホセイン・タジャッドド博士の研究と執筆により、「イラン手織り絨毯百科事典」が出版され、市場に出回っています。この百科事典は、2巻本で、世界で最も有名な絨毯、デザイン、シンボル、絨毯と音楽の伝説、染色の歴史の流れ、そして素材や配色、デザインから見た絨毯の種類などの章で構成されています。また、イラン製の手織り絨毯の保管や維持に際して勧められる事柄や、絨毯職人により守られている重要な点や、職人の体への影響などについても触れられています。また、第2巻には、経済と絨毯市場といったテーマや、絨毯の生産と輸出に関する問題、さらに、絨毯に関心のある人々に向けた教育や、絨毯を含めた手工芸が世界的な危機に瀕していることについて触れられています。

この百科事典の序文には、次のように述べられています。「太古の昔から、イランは世界で、2つの誇りを持つ国、即ち絨毯と文学の国と言われてきた。言い換えれば、イラン人の趣向や美学的なセンスは文学における意味や概念において、絨毯の図柄や品質において具現化されている。だが、文学が個人的な芸術であるのに対し、絨毯は集団的、総合的な芸術であるという点で、文学にまさっている」

「イラン手織り絨毯百科事典」は、イランの絨毯の総合的な事典であり、絨毯織りに関する全ての側面や、絨毯をめぐる貿易、芸術、産業てに関する諸問題について取り上げています。この百科事典に収められている情報は、単に図書館での閲覧により得られる情報のみならず、著者が実際に小さな村落にある絨毯織りの作業所や、イラン有数の大規模な絨毯工場に足を運んで得た、確かな情報が満載されているのです。この百科事典のもう1つの重要な特徴は、自らも熟練した医師である研究者が初めて、絨毯職人に多く見られる職業病の数々を克明に紹介し、こうした病気の予防や治療法について説明していることにあります。

この百科事典の執筆作業には、およそ40年を要しており、その見出しには全てのデザイナーや輸出業者、絨毯研究者の名前、そして各種の図柄やその歴史的な変遷などが出てきます。また、この百科事典は、イラン学百科事典財団により出版されており、全体のページ数は1000ページにも上ります。



世界における絨毯のルーツ



絨毯は、ペルシャ語では広げること、或いは広げるべきものと定義され、様々な色の木綿糸や羊毛、あるいは絹糸で色彩豊かな図柄を編み出しています。歴史的な資料が示すとおり、絨毯織りは当初、かごやざるを編む技術や、布地の製造の技術に次いで女性により生み出され、歴史的に見ても絨毯職人のほとんどを女性が占めていました。考古学者による発掘物からは、既に紀元前4000年から3000年ごろに、チグリス・ユーフラテス河流域で、アシの葉で編んだむしろが広く一般に使用されていたことが分かっています。その後、中東地域には敷物が急速に広まりました。絨毯は当初、狩猟で取れた動物の皮や、一部の樹木そして植物繊維で作られ、家畜の飼育が行われるようになってからは、羊毛が使われるようになりました。



古くから名声を博したイラン製絨毯


サーサーン朝ペルシアの末期にあたる紀元6世紀と7世紀には、イランの絨毯は世界的な名声を博し、珍重されていました。中国の歴史書「隋唐中国年鑑」には、当時中国に輸入されていた品物の1つとして、イラン製の絨毯が挙げられています。全ての専門家の間では、紀元前1世紀ごろのものと推定されるモンゴル製の絨毯をはじめ、世界各地で絨毯が発見されていることは、イランの文明が世界の絨毯産業に大変大きく貢献していることを物語っている、とされています。このことから、古くからの絨毯の生産地のほとんどが、直接あるいは間接的にイランの絨毯職人の影響を受けていたことになります
イラン製絨毯は、今から500年ほどのサファヴィー朝時代に最盛期を迎えていた時期にも、交易品として取引され、一部の事例では贈答品として扱われ、政治的な価値をも有していました。しかし、現在では、イランの絨毯はイランの美術史を再現するものとなっています。その理由として、イランの芸術におけるシンボル的な存在であるこの絨毯は、イランの古くからのオリジナルな文化から起こったものであり、そうしたイランの文化には、イランの民族的、歴史的、地理的なアイデンティティーが盛り込まれているからです。

絨毯の図案のデザイナーで、作家でもあるイラン人女性シーリーン・スールエスラーフィールさんは、イランの絨毯に見られるオリジナルの図案が、イランの歴史や文化、そして絨毯以外のイランの伝統的な芸術と密接な関係にあることから、決して時代の経過とともに廃れることはないと考えています。同様に、イラン中部イスファハーンのモスクに見られる空色の丸屋根のデザインには、イラン南部に残る世界遺産ペルセポリスのレリーフや柱、レザー・アッバースィーの伝統的な細密画ミニアチュールなどは決して、時代の古さを感じさせないほど生き生きとしています。



イラン製絨毯の図柄と材質、染色


絨毯模様 イランの絨毯の値打ちを測るには、伝統的で民族独特の図案が使用されていること、天然の植物性色素により染色されていること、素材の100%が羊毛であること、そして絨毯織りの工程において技術的な側面が遵守され、丹念に作られていること、の4つの点が重要となります。イランの絨毯は、図案の面で大きく何種類かに分けられます。中でも、中央部に楕円形の図柄のあるタイプのものが最も主要なデザインとされており、この種の図柄においては、中央部のほかに四隅にも楕円形の模様が織りこまれている場合もあります。また、これらの楕円形の模様は、美しい草花で装飾されています。

絨毯模様イランの手織りの絨毯は、ほとんどが羊毛で作られており、その重量全体の70%は羊毛で、残りの30%を木綿糸が占めています。絨毯の主要な素材として、特に羊毛が奨励されているのは、羊毛の持つきめの細かさや長さ、色、堅さが適切であり、そして外部から引っ張られる力に耐えうるものであることが挙げられます。イランでは、20世紀の初めまでは天然の色素のみによる染色が行われていました。その理由は、イラン国内の様々な地域では、その土地の気候風土に沿った動植物が生息し、また各種の鉱産資源に恵まれていることにあります。イラン人の職人は、これらの天然素材を巧みに使用し、最も美しい染料を作り出して、イランの絨毯に名声とオリジナリティーをもたらしているのです。

染色の専門家によれば、昔から現在までに、イランではおよそ3000の染料が伝統的な方法で作られてきた、ということです。現在では、伝統的な方法に加えて、絨毯に使われる羊毛の染色には、新しい方法も使用されており、イランの絨毯編みの職人やデザイナー、染色の専門家らは全力を挙げてこのイラン独特の芸術の水準を維持しようとしています。こうした職人たちは、イラン人の住居に絨毯がなかったら、魂がないに等しいと考えており、多民族国家の共通な国民的芸術文化のシンボルでもあるとしています。


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